2017/06/23 グリーンピース、東京電力株主総会で「原発で経営もメルトダウン」と批判ーー再稼働前提の事業計画は幻想、株主・消費者の負担増は必至

プレスリリース - 2017-06-23
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日6月23日、東京電力ホールディングス株式会社の第93回定時株主総会にあたり、会場の国立代々木競技場(東京都渋谷区)で「原発で経営もメルトダウン」と書いたバナーを掲げ、原発再稼動を進める同社を批判しました。グリーンピースはまた、午前10時からの株主総会に株主として出席し、同社の柏崎刈羽原発の再稼働を前提とした事業計画は幻想に過ぎず、株主・消費者の負担増は避けられないと訴えます(注1)。

TEPCO AGM

(Photo by Masaya Noda)

本日の株主総会後に、川村隆氏が新会長に就任する予定ですが、折しも6月30日には、東京電力福島第1原子力発電所事故にかかわる業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長の勝俣恒久氏ら旧経営陣3人の初公判が、東京地裁で開かれます。

グリーンピースは今回の株主総会で、柏崎刈羽原発を2019年から2021年に再稼働するという、同社が5月に発表した新たな「事業計画」は、あまりにも非現実的であり、株主や消費者を欺むくものであると批判する予定です。柏崎刈羽原発の再稼動見込みが幻想であるといえる理由は以下の通りです。

・前提となっている政府の東電福島原発事故費用試算21兆円の疑わしさ(注2)
・柏崎刈羽原発が長期停止していること
・敷地内に断層が23本存在していること
・フランスで発覚した原発部品の強度不足問題が同原発の原子炉圧力容器部品にもありうること
・新潟県知事が「福島原発事故の検証が先」として再稼働に反対していること
・新潟県知事選時の出口調査では73%もの県民が再稼動に反対していること
・再稼働差止裁判による再稼動の遅れの可能性
など

グリーンピース・ジャパンのエネルギープロジェクトリーダー高田久代は、「柏崎刈羽原発6、7号機の2021年までの再稼働はほぼ不可能であり、他機も2020年まで、停止したままでしょう(注3)。東電は近々、数基の廃炉を決めざるを得ないはずですが、同社はそれを知りながら、株主に幻想に基づいたビジネスを売りつけようとしています。そのつけを払うのは株主と電力消費者、そして納税者です。勝俣元会長のように起訴される最後を避けたければ、川村新会長にとって賢い選択は、原子力ではなく自然エネルギーによる革新的な事業計画の準備を始めることです」と述べました。

注1)グリーンピースは脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、東京電力と関西電力の株式を最小単位で(100株)購入しています。反原発を訴える多くの株主とともに株主運動に参加しています。

注2)福島第一原発にかかる最新の費用推定は、50〜70兆円で(日本経済研究センター)、政府の2016年の推定額21兆円の少なくとも3倍です。同社の事業計画では、東電福島原発事故費用のうち16兆円を負担するために、毎年5000億円を確保するとしています。しかしそのシナリオの前提は、非現実的な柏崎刈羽原発の早期再稼働であるため、過少推定である21兆円の福島原発事故費用でさえ十分に賄うことができません。

注3) 詳しくは、グリーンピースが本日発行したブリーフィング・ペーパー『TEPCO’s Atomic Illusion』(英語)をご参照ください。

 

 

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