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1年前のきょう、共謀罪が参議院本会議で可決、成立しました。

 

Cabinet

写真:強行採決された日の国会議事堂前 ©Greenpeace

 

 

共謀罪とは、組織犯罪を計画段階から処罰するための法律。

なので日本政府はあくまで取締りの対象は組織的犯罪集団としていますが、その定義が明確でなく、適用される罪が277にも及ぶことから、政府や捜査機関などの法執行機関が恣意的に運用できてしまう危険性が高く、多くの市民が成立に反対していました。

グリーンピースも、自由な市民活動を萎縮させる共謀罪の成立に反対を表明、成立後も、他のNGOや市民団体と協力して廃止のための行動に参加しています。 

 

共謀罪とは

テロ等準備罪法案という名前で国会に提出された共謀罪ですが、直接的にテロ行為につながる武器の調達や、適正な法的手続きをふまない情報収集は他の現行の法律で取締りがじゅうぶん可能なため、それ以上に広範な法的拘束力をともなう共謀罪は「現代の治安維持法」ともいわれ、国内外からさまざまな批判が寄せられています。

政府は2020年の東京オリンピック前にパレルモ条約(国際組織犯罪防止条約・TOC条約)を締結し、テロを未然に防ぐためと共謀罪の必要性を説明しましたが、パレルモ条約はマネーロンダリングや銃器・違法薬物の取引や人身売買など、マフィアや暴力団の組織犯罪を防ぐための条約であって、テロとは無関係です。

日本国憲法に規定されたプライバシー権(13条:個人の尊重・幸福追求権および公共の福祉)、思想の自由(19条)および表現の自由(21条)に反するという指摘もあります。

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原発事故に対するメーカー責任を問うグリーンピースのアクション。2013年6月。

  

この法案の議論の際、政府与党は「一般人は対象にならない」と繰り返しましたが、ではいったい「一般人」とは誰のことを指しているのでしょうか。法案を支持する層からは、反対するひとびとを指して「後ろ暗いことをしているからだろう」という声も聞かれましたが、では実際に、いったい何をした人が「非一般人」として罰せられるのか/罰せられないのかが、曖昧なままです。

 

共謀罪に似た法律は日本以外の国にもありますが、運用に必要不可欠とされる、恣意的な運用を防ぐ独立監視機関も、容疑をかけられ逮捕勾留された人(未決勾留者)の人権をまもる国内人権機関も、日本には存在しません。

 

共謀罪について日本政府に公開書簡を送った、プライバシーに関する国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏は、この状態での共謀罪の施行を「馬具をつけずに暴走する馬に乗るようなもの」と懸念を述べています(2017年6月9日、日弁連主催のシンポジウムでの発言)。

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自由をこれからも死なせないために

1941〜1945年、日本には現在の共謀罪と似た「治安維持法」という法律がありました。

当時この法律で逮捕された人は数十万人といわれています。そのころの日本の人口は約7300万人です。それだけの国で、こんなにたくさんの人が「組織犯罪の共謀に加担」するものでしょうか。

逮捕者のうち記録に残る死者数は1,697人。しかし、この法律で死刑判決を受けた人は誰もいません。1,697人全員が、勾留中の暴力、拷問や虐待、病気などで亡くなりました(レファレンス協同データベース)。

 

その時代から70年余り。

同じことを繰り返さないために、いまを生きる私たちにできることがたくさんあります。

 

ひとつめは、成立してしまった法律は廃止させることができます。

そのために行動している人が、たくさんいます。グリーンピースもその一員です。

今日6月15日には都内で集会(6・15「強行採決から1年 やっぱり共謀罪はいらない」集会)も開かれます。お時間のある方は是非覗いてみてください。

 

いますぐ誰にでもできること

集会にいくのは遠いな、きょうは都合が悪いなという人にもできるのは、FacebookやTwitter、ブログなどで「共謀罪に賛成できない」という意志を表明すること。
関心がある人、反対する人の存在を発信することで、同じ思いでいる人同士互いに勇気づけあえるだけでなく、共謀罪という法制度が日本にとって誤りであることを忘れてません、と政府やメディアに伝えることになります。

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表立って意志表示するのはちょっと、という人は、新聞やテレビの意見投稿サイトから、共謀罪について続けてとりあげてほしいと要望を伝えてみてください。匿名でも大丈夫です。

SNSなどで発信するのと似た効果があると思います。

テレビへの投書のコツは、テレビ局よりも番組そのもの、新聞社よりも特定の紙面の投稿窓口をつかうこと。スタッフの目に直接とまりやすくなります。

 

できることなら、ご家族やお友だちなど身近な人と、共謀罪について話しあってみてください。

共謀罪が私たちの生活の何を脅かしているのか、知らない人、気づいていない人がいるかもしれません。

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たいせつなのは、共謀罪が施行されたからといって、必要以上に萎縮しないことです。

言論の自由と表現の自由は日本国憲法で保障された基本的人権です。

大いに行使することが、私たちの民主主義を私たちの手でまもるための最強の手段です。

自由は全然、死んでない。これからも、死なない。私たちが死なせない限り。

 

この日本という国をどんな国にしたいかという選択権は、私たちの手の中にあるのです。

 

グリーンピースは今後も共謀罪を廃止するための市民運動への参加を続けます。

最新情報はFacebookページでお伝えしていくので、ぜひチェックしてください。

 

 

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