こんにちは、インターンの河津です。

6月23日、現場未来塾主催の「地方創生・地方自治」に参加しました。
イベントでは、自民党の石破茂衆議院議員、構想日本の加藤 秀樹代表が講師として、これからの地方自治体のあり方についてお話を伺いました。

グリーンピースのインターンとして、このイベントに参加することによって、さらなる地域活性化のためにグリーンピースのような国際環境保護団体、また地域レベルのNGO・NPOがどのように関わっていけるのか考えるきっかけとなりました。

過去に、グリーンピース・ジャパンは、徳島県上勝町の自治体と一緒に、ゴミゼロを目指す「ゼロ・ウェイスト」活動を行いました。ごみ焼却時に排出される有害化学物質問題の問題の前に、ごみになるもの自体を減らす政策として紹介してきました。*1 いま上勝町の取り組みはメディアでも取り上げられ、地域の活性化にも繋がっています。
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上勝町の例のように、環境問題の視点からも、地域活性化に貢献する方法があるはずです。NGO・NPOとしても、地域で問題意識を持ち、地域の方々と解決し、そのストーリーを発信する、地方の主体的な動きが必要だと思いました。

参加者には一般市民、農家さん、市議会議員の方、公務員の方など様々な職種の方々がいらっしゃいました。私は、場の雰囲気に少し緊張しましたが、このように一般市民が政治家や政治政策に直接関わる方々と場を共有できたことは、とても貴重な経験となりました。

超急速少子高齢化社会と地方自治体のありかた

防衛大臣そして地方創生大臣という、ミクロ・マクロの国家運営の経験をもつ石破議員。大きな問題として、出生率の低迷そして高齢化が、現代の日本社会が直面する問題であり、自治体レベルでの変革の必要性を訴えていました。

同時に、東京の一極集中である日本政治・経済の組織の問題性をあげ、東京の人口集中現象について言及がありました。石破議員は、一人の女性が出産するこどもの人数は東京が一番低いという点に触れられ、東京の急速な高齢化の減少について取り上げていました。

石破議員の話の中では、特に大都市での少子化問題が取り上げられ、女性が子どもを産まないことについて言及がありました。しかし、あらためて女性が子どもを産めない理由を考えると、経済的理由、待機児童問題等、産休がとりにくい職場の雰囲気、さまざまな問題が原因となっているのが現状ですよね。
しかし、国の組織の中心である東京の急速な少子高齢化の現象を見る限り、来るべき人口減少社会に向け、地方再生・地方創生は地方の問題と完全に切り離すことは難しいと思いました。

地方の問題は、地方だけの問題なのだろうか?

全国で人口のアンバランスが起きており、東京に国家組織・運営が集中する中、国家を維持するためにはどのようにすればいいか。石破議員は、ここで自治体の力が試されるといいます。

自治体は国家のお金だけに頼るのではなく、自然に恵まれ、農業・林業・漁業・観光業に適す日本の素晴らしい資源を活かし、”ゼロベース”で、あくまで自治体主体で地方創生・地方再生を実行する必要性があるといいます。

石破議員は、地方創生が失敗する例として、「やりっぱなしの行政・頼りっぱなしの民間・無関心の市民」のこの三つの原因をあげました。もちろん、自治体にとっては補助金は基本的な財源になるが、霞が関では地方は変えることができない、地域がどのようにこれから伸びるか、地域の人々が主導となって、地域で考えるしかないと訴えていました。

「社会のことを自分化する」

次に、構想日本の加藤 秀樹代表の講演では、社会で起こっていることを自分の課題・問題として認識する必要性をお話いただきました。構想日本は非営利中立の立場として、事業仕分けや住民協議を行い、住民と行政の架け橋となる役割を担っている団体です。その運営に政府政策関係者そして地域住民と関わるうえで、地方には可能性がたくさんあるのに、それをなぜ彼らで活かすことができないのか、参加者に質問を投げかけました。

加藤代表は、「社会のことを自分化する」、その必要性を訴えました。いくつかのお話の中で、印象に残ったお話は、「民主主義ではすべての国民が加担している」ということです。ある社会問題で起こる問題で、国民は被害者であると同時に加害者でもあるといいます。その因果関係を理解するためには、市民一人一人が、政策決定に参加する必要性をおっしゃっておりました。

個人的に、私はこの「社会のことを自分化する」というのは、本当に大事だと再確認しました。現在は、グリーンピースでインターンシップとして働いていますが、エネルギー、海洋生態系、食と農業、などの環境問題、そして政治政策は、自分の生活に直接かかわる問題だということを日々感じています。実際のところ、そう感じるまで、私自身すごく長い時間をかけてしまったことに後悔している真っ最中であります。

他人事、国のことと問題から目を反らすのではなく、「自分事」として考えるだけで、新聞、ネット、テレビで受け取る情報の意味も変わってくると思いました。

質問タイム!!!

私は石破議員に、NGOそしてNPOが政策の実行に大きな役割を担う欧米社会の構造に対し、日本ではなぜ政府機関との距離感が縮まらないのか、質問をする機会をいただきました。

石破議員は、NGO・NPOは地方創生には町村とのコラボ成功している例を挙げられ、これから役割は大きくなるだろうとの見解を示しました。

私は素直に、政府とNGO・NPO、また国際機構と共に切磋琢磨できる環境が今すぐに必要ではないかと思いました。例えば、イギリスに見る市民社会では、圧倒的にNGO・NPOが社会課題の解決の主体アクターです。政府もある程度の事業はベースを整え、あとは各団体と市民で協力し問題解決へと一丸となる、そのような仕組みがあります。

しかし、日本社会ではどうでしょうか?どうしても、政府をトップに組織間の縦の構造があります。この構造を破り、NGO・NPOの地位を向上させることが、地域活性化のより近道になるのではと考えます。

地方創生・地方再生とグリーンピース

地方創生・地方再生ときくと、どうしても国まかせというのが私の最初の印象でした。しかし、NGO・NPOの社会的地位を向上させると同時に、地方に住む住民ひとりひとりの実行力が地域再生のカギであることを学ぶ機会となりました。

つい最近の話ですが、大阪宝塚にある株式会社宝塚すみれ発電の代表取締役の井上保子さんがグリーンピースのオフィスにいらっしゃり、宝塚市での井上さんの取り組みをシェアしてくださいました。*2

宝塚すみれ発電は、エネルギーの地産地消をめざす「コミュニティー発電」ですが、太陽光発電の普及にとどまらず、地域活性化をめざしています。地元の方々を巻き込んで、太陽光発電をツールにして、市内の酪農や農業を活性化しようとしているのだそうです。地域活性化に取り組む姿勢を伺うと、地域には可能性がたくさんあるのだなと、直接お話を伺う中で、実感しました。

東京の一極集中という行政構造ではなく、地方が地方ならではのいいところを見つけ、地方が元気になることで、持続可能な暮らしに繋がる、今回のイベントや宝塚すみれ発電の例からも痛感しました。

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参考

*1 サクセスストーリー 「2020年までにごみをゼロに」上勝町とグリーンピース
http://www.greenpeace.org/japan/ja/campaign/toxics/zerowaste/

*2 (株)宝塚すみれ発電所
http://takarazuka-sumire.com/

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