こんにちは、福井アクションセンター駐在の高田です。

4月26日、大飯原発がある福井県おおい町で原発再稼働について住民説明会が開かれました。

説明者は、柳沢経済産業副大臣や保安院の方々。
説明会の様子は、地元のケーブルテレビで生中継されたので、私もおおい町内で生中継を見ながら「傍聴」しました。

会場となった体育館には700人ほどの住民が参加。
報道機関のカメラが回り、ケーブルテレビの生中継がある中、住民からは「再稼働は拙速」とのコメントや質問が相次ぎました。


これで地元の理解が得られたと、言える状況ではまったくありません。
政府は、「再稼働ありき」でカレンダーばかり見るのではなく、住民・国民の目を見て、将来を見て話をしてほしいと思います。


【生中継視聴・実況メモまとめ:大飯原発再稼働についての福井県おおい町住民説明会】
(このメモは、住民説明会を生中継したおおい町のケーブルテレビを視聴しながら、高田がメモしたものです)

●開催日時:2012年4月26日 午後7時30分~9時10分
● 主催:おおい町
● 対象: おおい町住民
配布資料ダウンロード(おおい町役場ウェブサイト)
ニコニコ動画の録画放送  (一部カットされている部分があるようです)
● 説明者:
<経済産業省副大臣>
柳沢 光美 氏

<保安院>
首席統括安全審査官      山本 哲也 氏
原子力安全技術基盤課長    市村 知也 氏
耐震安全審査室長       小林 勝 氏
原子力発電検査課 施設検査班長 忠内 厳大 氏
原子力発電安全審査課 長江 博 氏

<資源エネルギー庁>
電力・ガス事業部長      糟谷 敏秀 氏
原子力立地・核燃料サイクル産業課長   森本 英雄 氏


【以下より、実況メモです】

時岡町長「住民説明会の後、町議会と県の専門委員会の判断を踏まえ、町としての判断を知事に伝える」

経産省柳沢副大臣「これまで40年にわたり電力を支えてきたおおい町民に感謝。フクシマ20キロ圏内もくまなく歩いてきた。事故現場に何度も足を運んできた。胸が張り裂ける思いがした」

柳沢経産副大臣「フクシマでは48万人の作業員が放射線が飛び交う戦場のようななかで作業をして冷温停止にできた。今回の事故は2度と起こしてはいけないと心の底から思っている」

柳沢経産副大臣「一方で政府は具体的な安全対策を次々と打ち出している。東電福島事故のような地震・津波に襲われても大飯原発は燃料損傷に至らず大量の放射性物質が放出する事態には至らないことが確認できた」

柳沢経産副大臣「今日、自分で実際に大飯原発を視察して、全部見てきた。それを踏まえて町民のみなさんに説明したい」

柳沢経産副大臣「IAEAも評価している、専門家が技術的に安全を確認している、4大臣が6回にわたって審議した。」

柳沢経産副大臣「再稼働についての意見聴取会は、すべて公開し、一般の方の意見も反映して行ってきた」

柳沢経産副大臣「4大臣による判断基準は、決して短期間で作ったものではない。それまでの積み上げをまとめたものだ」

柳沢経産副大臣「フクシマの教訓は、安全神話と決別すること。一定の安全対策を実施すればそれで十分ではない。新しい安全文化を確立しなければならない」

柳沢経産副大臣「大飯原発では外部電源が喪失しないように、冷却がきちんとできるように十分に準備・対策ができている。フクシマのようなことが大飯で起きても同様の事故にはならないことが明確」

柳沢経産副大臣「フィルター付きベント: 大飯はフクシマと原子炉のつくりが違うから、万一炉心損傷が起きても放射能が大量に外気にでることはない。自分で今日大飯の原子炉を見てきて形も大きさも福島と全く違うと確認した。」

柳沢経産副大臣「大飯原発のある若狭湾には、太平洋側と違い海溝型地震を起こすようなプレート境界は存在しない。しかも大飯には11.4mの津波が来ても耐えられる対策する」

柳沢経産副大臣「大飯を襲う最大の地震は700ガル。周辺断層の連動を考慮すると760ガル。断層が連動して動くのは考えにくいが、念のため評価した。連動した時でも原発の安全性は確保できると確認した」

柳沢経産副大臣「ストレステスト2次をしないと安心できないとの声あるが、すでにフクシマ事故と同レベルの地震津波でも大飯は炉心損傷しないと1次評価で確認できた。昨年7月から2次評価は原発を稼働させながら行うとしてきた」

柳沢経産副大臣「防災について: 地震・津波が起きても大飯では大事故にならないことが確認されているが、オフサイトセンターを充実させている。道路も新たに整備を検討する」

柳沢経産副大臣「日本経済のこれからを考えると、安全性確保と信頼性向上をしながら原発を使っていくことは必要だと考える」

柳沢経産副大臣「昨年東電管内では15%の電力カットをお願いした。そのため企業や家庭、従業員のライフサイクルにも影響があった。非常に厳しい電力不足に直面している。国民生活への影響を最小限にするためにも大飯の再稼働は重要だ」

★柳沢経産副大臣の説明が終わり、これから住民からの質疑に。

住民「安全性、必要性わかった。再稼働に向けて協力していきたいと思う。大飯再稼働なくして、日本の再生なしと思う。地元に対してもっと安心して住めるよう、道路だけでなく船で避難できるとか、核シェルターつくるとかしてくれたら再稼働に賛成だ」

住民「安全と言われてきたフクシマで事故。大飯で起こったら琵琶湖が汚染される。それを飲んでいる関西圏に大きな影響がある。原発がなかったらそうならない。絶対安全ということが重要。それを確信できないと無理。現状ではシミュレーションのみで実態調査なしだ」 

住民「実態調査をきちんとして。活断層連動した時の評価をもう少し詳しく。免震事務棟とフィルター付きベントもまだできていない。応急的なものでは話にならない。規制庁もまだできていない」 

保安院山本氏「耐震性評価するためには現場の実態調査必要。ただ線量高くフクシマ1-3号機中に入れない。だがロボットを入れて確認している」

保安院山本氏「免震事務棟は現在確かにないが、十分代用できるものがすでにある。フィルター付きベントについては、そもそも炉心損傷が起こらないように対策重要。その対策は十分だ。念のためフィルター付きベントは3年後につける」

住民「これからはトリウム発電では。資源量ある。放射線でない。日本ではどのように取り組んでいくか知りたい」

資源エネ庁「トリウム発電はまだ研究段階。トリウム発電のように新しい原発も検討したい」

住民「副大臣発言にカチンときたことある。フクシマでは免震事務棟があったからかろうじて何とかなった。万が一があってはいけないんだ。大飯は免震事務棟まだない。経済面と安全面は絶対に切り離して考えるべき」

柳沢経産副大臣「大飯は地震プレートなどがフクシマと違う。免震事務棟についてはフクシマと状況違う」

住民「安全対策は、防潮堤や免震事務棟まだない。安全対策ぜんぶ完了して再稼働お願いしますならまだわかるが、現状では不安だ。地元の雇用対策して。再稼働しても雇用はすぐにふってこない」

住民「あの震災がおきて今のまま再稼働だったら、何も変わらない。私たちは何かあったら関西圏に避難する。関西の反対を押し切って再稼働して事故になったら、関西の人はすぐに手を差し伸べてくれないかもしれない」

住民「関西の電力が夏に足りなくなるというが、本当か。たりない分がちょうど大飯2基分の発電量と重なるし。もっと節電できるのでは」 

住民「オフサイトセンター運用をしっかりしてほしい。外部電源は水への対策のみでよいのか。立地自治体が悪いような報道が毎日ある。国がしっかり説明して、国民が納得するようにしてほしい」

保安院「オフサイトセンターと各自治体の通信網を多重化して強化する。安全には終わりはない。常に安全性の向上を続ける。安全神話を断ち切る。地元・国民にわかりやすく伝わるように努力したい」 

住民「地震が一番心配。新潟中越沖地震でも、450ガルしか揺れないと言われていて1699ガルを観測した。大飯でそうなったらどうなるのか」

住民「大飯の下にも活断層あるとの今日の朝日新聞報道にビックリした。調べるまで再稼働はありえない。基本的に自分は再稼働必要との立場だが、余りにも拙速。事故原因もまだわからず、規制庁もなしだ」

保安院「大飯の下にも(敦賀で指摘されたような)破砕帯があるが断層から離れている。過去に調査したが問題ない事わかった」

保安院「フクシマ事故の最終報告出ていないがとの指摘だが、何が足りなかったかの調査でき、技術的な事故の原因は共通の理解として出ている」

住民「44年間国の原発政策に協力。町民の理解と協力で今に至る。原発は迷惑施設なのか。もしそうならそこから利便をうける人が『どうかお願いします』というのが筋。国の責任で京阪神にしっかり説明して。そうでないと町の先人の努力が水の泡になってしまう」

―――― 説明会終了: 午後9時10分