南極の海底に、こんなにもたくさんサンゴや海綿があることを知ったら、みなさん驚くでしょう。南極海で特別な保護が必要と確認された海底の生物群集の4分の3を特定した私でさえ、こんな様子は見たことがありませんでした。

つまり、自然の環境の中で目にしたことがないものだったのです。今までは。

 潜水艦に乗って海底に潜る準備中 20181

この特別な海底は、サンゴなどのたくさんの生きものでびっしりと埋め尽くされていました。これらの生きものたちが立体的に広がり、縦にも横にも広がる3Dの生態系を築き、魚の避難所になったり、数え切れない生きものたちのすみかとなっています。複雑な生態系の基盤となり、南極海全体を、そしてペンギン、アザラシ、クジラなどのより私たちに馴染みのある体の大きな動物たちをも支えているのです。 

潜水艦で撮影した南極海底の様子 20181

南極生物学者として25年間活動してきた私ですが、いまこんなにも興奮しているのは、海底に自ら行くことができたからです。このユニークな海の奥深くを研究するために、何度も南極に遠征してきましたが、いま自分の目で、何年も研究を重ねてきたことを目の当たりにしています。

普通、このような科学調査は、とても難しいものです。引き網を使ってたくさんの生きものを捕まえ、何時間もかけて生きものの分類群を見分けて分析するのです。でも、このような方法は海を傷つけるので、私は複雑な気持ちでした。でも今回は、二人乗りの小さな潜水艦に乗って静かに海に潜り、証拠として写真を撮ったり、新発見の生物かもしれないものを含め、少しだけ標本を採取する方法をとっています。

 レッツゴー!

若い時から、私は南極圏の無脊椎動物に夢中でした。その時から、感動的な南極海底の生物群に出会い、研究してきましたが、今では特別な保護が必要なエリアを特定するために、私自身が行動を起こすことができています。

この海底探索は、大規模な商業漁業から優先的にまもるべき場所をつきとめるために役立ちます。保護区をつくることで、原始のままの姿を保つ最後の海であり、地球上のすべての海に繋がるこの南極海をまもるのです。

今回の探索で遭遇するであろう”脆弱な海洋生態系”は、証拠として、南極の海洋生物資源の保護に関する委員会にも提出される予定です。同委員会には、地球で一番大きなサンクチュアリをつくるという提案が提出されていますが、このような生態系が確認されることで、その提案の正当性が裏付けられることを期待しています。 

南極の深海300メートルで見つかった南極ウミシダ。20181

今年10月の会議で、地球で一番大きな海のサンクチュアリをつくるという提案が通ることを、心から願っています。今回の探索では、グリーンピースと私は同じ目的をめざして進んでいて、このプロジェクトでグリーンピースとコラボレーションできることを光栄に思っています。

南極の海底に潜るという科学者としての私の夢がかなった今、もっと大きな夢をめざしたいと思います。南極海を保護するという夢を。

Dr. スザンヌ・ロックハート カリフォルニア科学アカデミーの南極生物学者。現在は、南極海でグリーンピースのキャンペーン船、アークティック・サンライズ号に乗船している。

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