2014年10月1日提出
東京都議会議長
吉野利明 様
郵便番号160-0023
東京都新宿区西新宿8-13-11 NFビル2F
電話番号03-5338-9800
一般社団法人グリーンピース・ジャパン
事務局長 佐藤 潤一
(願意)
国の集団的自衛権行使容認の閣議決定の見直しと、国民の意思を反映するために国会での議論及び国民的議論の場を持つことを求める意見書を採択していただきたい。
(理由)
武力紛争が依然として絶えない国際社会において、武力の行使を放棄し、戦力をもたず、交戦権をみとめないことを規定して、徹底した恒久平和主義を実現しようとすることを掲げた憲法9条の精神は、今日ますますその存在意義を増しています。
これまで、日本政府は「憲法9条下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」との見解(1981年5月政府答弁書)を踏襲してきました。
しかし、平成26年7月1日、安倍内閣は、憲法の解釈変更によって集団的自衛権の行使を認める解釈をするという閣議決定を行いました。これは、国民の平和的生存権が否定されようとしていることに他なりません。
集団的自衛権の行使容認は、日本国民が約70年間守ってきた平和を手放し、国際社会に対して日本が「敵と味方」の線引きを始めると宣言することを意味します。それは、人を殺し殺され、環境を破壊する戦争に巻き込まれ、国内外でテロの標的になる危険を招きます。
日本の恒久平和主義は世界の多くの国や地域から認識され、敵味方の線引きをしない「平和のブランド」として国民の安全を守ってきました。平和主義を貫き、「敵」をつくらない、武力に頼らない叡智をつくした外交努力こそが、戦争に巻き込まれず、市民の安全を守る最大の自衛と言えます。
そもそも憲法が制定された当初からの目的は、時の政府が国家権力を乱用するのを防ぎ、国民の基本的人権を守るためでした。
憲法前文は、「われらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と述べています。
集団的自衛権の行使容認の閣議決定は、この前文とあらゆる部分で矛盾しています。
平和主義は憲法の基本原理に関わるものです。これを、国民の意思を直接問う手続を経ることもなく、国会での満足な議論さえせずに、内閣の判断で変更することは、立憲主義、国民主権を根本からゆるがすものです。
東京都は、約70年に及ぶ平和を守ってきたこの国の首都として、そして平和の祭典である2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催都市として、恒久平和の実現のため、日本が敵味方の線引きにつながる集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に対して、無批判に受け入れることは許されません。